導入事例|サンデン株式会社

カーエアコンの冷媒制御ソフトを仮想ECU環境で開発 - 将来のコントローラー統合を見据えてSW-C化を試行

サンデン株式会社(以下、サンデン)は、「冷やす・あたためる」をキーテクノロジーとして、快適な車内環境を提供する製品を開発しています。これらの技術はカーボンニュートラルとEVの未来に貢献しており、主要製品である自動車空調システムや自動車空調用コンプレッサーは、世界中の自動車メーカーや建設機械・農業機械メーカーに採用されています。

今回、サンデンでは空調制御機能を実装した「SWC」(ソフトウェアコンポーネント)のテスト効率化を目的に、ベクターのシミュレーションツールCANoeとECU仮想化ツールvVIRTUALtargetを用いて、仮想ECUでのSWC機能テストの自動化に取り組みました。

TechnicalArticle-Sanden_vECU.png

ツール採用の経緯

自動車業界は現在、100年に一度の大変革期を迎えています。技術革新と市場変化に対応しながら、持続可能な未来に向けて進化を続けており、各社は高機能化する自動車ECUの統合化に取り組んでいます。

自動車ECUの統合化は、複数のECUを一つのユニットにまとめることで、システム全体の効率化、コスト削減、性能向上を図る技術です。これにより、車両の高度な制御が可能となり、電動化や自動運転、コネクテッドカーなどの先進技術に対応します。統合ECUは、持続可能な未来に向けた自動車技術の進化に重要な役割を果たしています。

また、ECUソフトウェア・アーキテクチャの標準化を通じて、ソフトウェア部品の再利用化と開発・検証工数の削減を実現する「AUTOSAR」(AUTomotive Open System Architecture)が採用されており、サンデンでもAUTOSARを用いたECUソフトウェア開発が進んでいます。

BSWなしでのSWC評価

自動車ECUの統合化が進むことで、従来のハードウェアECUの機能が統合ECUに集約されます。これにより、サプライヤはハードウェアではなく、ソフトウェア単体で機能を提供することが求められます。ソフトウェアが納品物となる場合、AUTOSARベースのECU開発に必要な「BSW」(ベーシックソフトウェア)は不要となり、ソフトウェア単体での実装と評価が行われます。この際、開発者は仮想ECUを使用して、実際のハードウェアを使わずにECUの機能をテスト、デバッグします。

BSWなしでのSWC評価

仮想ECUは、下図のようにモデルの初期段階であるLevel0から、ターゲットマイコン用のバイナリであるLevel4までの5段階で定義されており、各レベルの概要は次のようになります。

Level0は、基本的な機能を提供するモデルですが、仮想ECUとして扱われないこともあります。Level1は、ソフトウェアコンポーネントのみが実装された仮想ECUで、アプリケーション・ソフトウェアの評価が可能ですが、ネットワーク通信は行えません。Level2は、シミュレートされたBSWモジュールを結合した仮想ECUで、ネットワーク通信を介したアプリケーション・ソフトウェアの評価が可能です。Level3は、ハードウェア依存部分であるMCALを除く量産適用可能なBSWモジュールを組み込んだ仮想ECUで、アプリケーション・ソフトウェアとBSW部分の評価が可能です。Level4は、MCALを含めたすべての量産用BSWを組み込んだ仮想ECUで、仮想ECUを動作させるためのハードウェアシミュレーターやマイコンエミュレーターが必要です。

サンデンでの対応

サンデンは、空調制御機能を持つSWCの評価を行うために、既存システムを活用しつつ、Level2の仮想ECUでの評価を検討していました。これにあたり、ベクターが提案したシミュレーションツール「CANoe」とECU仮想化ツールvVIRTUALtargetを採用し、評価環境を構築しています。

本稿では、サンデンが仮想環境を利用した評価環境の構築に弊社ツールを採用した背景についてご紹介しました。

具体的な構築内容については、以下の導入事例をご覧ください。

導入事例|カーエアコンの冷媒制御ソフトを仮想ECU環境で開発

将来のコントローラー統合を見据えてSW-C化を試行

カーエアコン用コンプレッサーや統合熱マネジメントシステム(ITMS)を手掛けるサンデン株式会社は、ITMSを構成する「CRU」(コンパクト冷媒ユニット)の制御ソフトウェアを、ベクターのvVIRTUALtargetを用いた仮想ECU環境で試験的に開発しました。今後見込まれるECUの集約に向けて、制御ソフトウェアをAUTOSARのSW-Cとして提供するための試みです。

お役立ちコンテンツ