Vector Informatikは、メガワット充電システム(Megawatt Charging System: MCS)向け通信コントローラの量産を開始しました。2025年5月にミュンヘンで開催されたPower2Driveにおいて初めて詳細公開された「vSECC.MCS」は、今後数年間にわたり量産対応のMCSソリューションを開発する充電インフラメーカーを対象としています。
大型商用車分野では電動化への移行が進んでおり、従来の充電システムを大きく上回る充電能力が求められています。MCSは、法定休憩時間のような短時間の停止中に大型車両のバッテリーを迅速に充電することを目的として設計されています。この仕組みを支える重要な要素が、充電設備と車両間の通信であり、その役割を担うのが通信コントローラです。
vSECC.MCSは、市場投入に先立ち、約1年にわたってパイロット顧客との実地試験を実施しました。さまざまなシステム環境において実運用条件下で評価が行われ、そのフィードバックを製品改良に反映しています。また、最終試作機によるEMC(電磁両立性)試験も無事に完了し、量産開始への準備が整いました。初回出荷は2025年中を予定しています。
本コントローラは最大3.75MWの充電出力に対応しています。MCSを利用することで、一般的な大型トラックのバッテリーを約45分で80%まで充電できます。通信インターフェイスには国際規格ISO 15118-20に準拠したEthernetベースの通信方式を採用しており、コネクタシステムはIEC TS 63379技術仕様に適合しています。さらに、MCSだけでなくCombined Charging System(CCS)にも対応しているため、既存車両との後方互換性を確保できるほか、1つの充電ステーションで2台の車両を同時に充電することも可能です。
vSECC.MCSは、ベクターが実績を持つCCS通信コントローラ「vSECC」と同一のハードウェアプラットフォームを採用しており、ファームウェアも共通基盤を利用しています。そのため、既存設計の拡張が容易であり、新しいMCSシステムを迅速に開発できます。
ベクターのCommunication Controllers担当プロダクトマネージャーであるDr. Omar Abu Mohareb氏は次のように述べています。「vSECC.MCSにより、実フィールドで十分に検証されたMCS向け通信コントローラを量産化します。開発においては、堅牢な通信性能、シームレスなシステム統合、そして迅速な提供体制に重点を置きました。パイロット顧客との緊密な協力により、実際の市場ニーズに即した製品へと仕上げることができました」
vSECC.MCSは、ベクターの充電インフラ向けE-モビリティ製品ポートフォリオの一部です。ベクターはこのほかにも、充電ステーションおよびウォールボックス向けコントローラ、充電・負荷管理システム「vCharM」、通信プロトコル向けソフトウェアライブラリ「vSECClib」などを提供しています。これらの製品群を組み合わせることで、インテリジェントかつ電力系統に配慮した充電戦略を効率的に実現できます。


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