vCDMの概要

vCDM (Vector Calibration Data Management) は、キャリブレーションチームをサポートするプラットフォームであり、データベースによる成果物の一元管理が可能です。キャリブレーション結果は効率的に マージが可能で、マージ時に起こり得るデータの競合を回避、検出して解消します。すべての変更はトラッキングされます
メタデータ、依存性の管理、コンポーネント、パラメーター値の自動算出、ワークパッケージの再利用によって、数多くのバリアントを制御できます。データセットは一貫性があり、データの質が高く、データ解析やレポート機能でお客様の開発プロセスの品質と効率が改善します。
キャリブレーションデータはグラフカルに表示され、実績あるベクターのパラメーターエディター「CDM Studio」によって手動編集が可能で、キャリブレーション担当者を強力にサポートする環境を実現します。
特長
- データのコンフリクトの回避、検出、解決により、チームの作業効率が向上
- すべての変更に対するトレーサビリティー
- vCDMの柔軟性:パワートレインやシャーシ、AUTOSAR Classic/Adaptive、Tier1と自動車メーカー、機能開発とシミュレーションなど、あらゆるアプリケーションドメインとECUアーキテクチャーをサポート
- vCDMには操作が簡単なvCDMstudioエディターが含まれ、これを使用してデータベースなしでファイルベースの操作を行うことも可能
- ドメイン固有のビューにより、キャリブレーションデータの特定の特徴を分かりやすい形で視覚化(OBD機能抑制マトリックスエディターなど)
- クラウドベースの現代的なシステムアーキテクチャーと、世界各地に分散したチームのサポート
- すべての操作を幅広いバリアントを想定して最適化












バージョン19の主な特長
- 安全および排出ガスに関連するパラメーターのチェック: キャリブレーションルールに新たに「条件」、「深刻度」、「ユー ザーヒント」を追加
- キャリブレーションルールの拡張: キャリブレーションルールをvCDMstudioで作成および実行
- パラメーターのモニタリング: コンプライアンスの取組みをサポート
- プロセスの品質: プロセスのステップで求められるデータ品質を設定
- パラメーターの承認: キャリブレーションパラメーターの承認のフィードバック (マージ)を改良
- パフォーマンスの向上: クライアントおよびサーバーのパフォーマンスを複数の点で 最適化
- 外観: ユーザーインターフェイス、アイコン、バージョンをベクター のCANapeと整合
- 「米国の車両にのみルールを適用」など、条件に応じてキャリブレーションルールを実行
- 条件ではvCDMのユースケース(「HEXファイルの生成時」)またはvCDMの属性を参照可能
- 失敗したキャリブレーションルールを「エラー」、「警告」、「情報」に分類
- ルールに関する追加情報を「ユーザーヒント」として提供
- 条件式およびパラメーター演算ルール用のエディター
- vCDMstudioを拡張してキャリブレーションルールの使用を可能にする、新しいプラグインアプリケーション
- キャリブレーションルールセットを作成または修正するための新しいエディター
- キャリブレーションルールに照らしてキャリブレーションファイルを検証するための実行画面
- 検証結果の表示、ログ記録、即時レビューが可能
- vCDMでの機能分類(排出ガス処理、安全性など)の定義
- 機能分類へのパラメーターの割当て
- 分類済みパラメーターの変更への対策を定義
- パラメーターのチェックと検証の手段を定義する検証フレームワーク
- パラメーターのインポート – 承認 – リリース用に新しいプロセスステップを定義
- プロセスの進行を可能にするための、「必要なデータ品質」の設定を拡張
- 競合するパラメーターの変更の解決方法を改善
- 承認(マージ)時のプロセスステップの数を削減
- vCDMcenterのダッシュボードでページのナビゲーションが高速化
- 複数の操作でサーバー呼出しの数が減少
- ユースケースのパフォーマンスが最大15%向上(社内ベンチマーク用スイートでV6.8と比較)
- vCDMstudioが64bitに対応
(copy 2)
- ベクターのCANapeの視覚的なスタイルを採用
- vCDMのメインアプリケーションの名称をvCDMcenterに変更
- バージョン番号を19に変更
機能
- ユーザーモードの選択: 導入当初は直感的な操作が可能なガイドモードでスタートしますが、後からエキスパートモードに簡単に切り替えることができます。
- キャリブレーションツールへの統合: CANapeやINCAといったキャリブレーションツールから直接vCDM機能を起動できます。
- Webブラウザーでのアクセス: 外部の組織や頻繁に利用しないユーザーでも容易にアクセスできるインターフェイスです。
- 企業内システムとの連携: 汎用プログラミングインターフェイスCOMおよびSOAPを使用して、vCDMを既存システムと連携した運用ができます。
- ドメイン固有の拡張: Function Inhibit Matrix
特殊機能
エンジニアは、CANapeやINCAなどのツールを使用して車両のキャリブレーションを行います。
これらのツールを使いながらvCDMと情報をやりとりできるように、vCDMをCANape 13およびINCA 7.1に連携させることができます。
vCDMの最新のソフト変更をキャリブレーションツールにダウンロードしたり、キャリブレーション結果をキャリブレーションツールから直接vCDMに移行したりできます。

Webブラウザー経由でのアクセスを利用して、キャリブレーションデータへのアクセスを制限することができます。この方法は、社外のサプライヤー、販売店、ソフトウェア開発者、その他のたまにしか使わないユーザーがvCDMにアクセスできるようにする場合に理想的です。
Webブラウザー経由でのアクセスは、社外の組織との通信においても、標準的なITセキュリティーのガイドラインを十分に満たします。
vCDMでは、キャリブレーションデータを保存する次の2つの形式をサポートします。
- データをアドレスベースでインテルHEXファイルまたはモトローラSレコードファイルに保存します。この形式で保存したデータは、ECUにのみ読み込むことができます。
- データを物理的な表記方法でパラメータセットファイルに保存しません。これは、キャリブレーションエンジニアが理解しやすい表記法です。
2つの表記法の間で変換を行うには、A2Lファイルを使用する必要があります。
vCDMの内部データベースモデルでは、2つ目の表記法を使用して、ECU形式に依存せずにすべてのデータを保存します。
この場合、データをアドレスベースの表記法から人が読める形式に変換する必要がないため、短時間でさまざまな解析ができます。
詳細なレポートをわずか数秒で生成できます。レポートでは、あらゆる変更とそのソースが出力され、製品バリアントの整合性をチェックしたり、パラメーター最適化の可能性を識別することができます。
"Software-as-a-Service"モードのvCDM
限られたITリソース、シビアな予算

ECUの測定やキャリブレーションに用いられるソフトウェアとは異なり、データ管理ソリューションはシングルユーザーのソリューションではありませ ん。vCDMにはPCへのユーザーアクセスに加えて、サーバーとデータベースも含まれています。そして、vCDMの運用や保守には、一般的な業務ソリュー ションと同様に、IT部門のサポートが必要です。しかし、そのIT部門では、ちょっとしたIT作業にも限られたITリソースのやりくりが求められ、それに 大いに頭を悩ませることが少なくありません。結局、時間的な遅れや内部コストの増加が生じてしまうこともよくあります。そのため規模の小さい企業や部門で は、技術的なメリットは大きいものの、敢えてキャリブレーションデータの管理を行わないこともあります。
データ管理が必要になるのは、大抵はプロジェクトの技術的な要求に迫られた場合です。従来のソフトウェアライセンスモデルでは、データ管理ソリュー ションの調達コストはプロジェクト予算から支出せざるを得ません。つまり、予算立案のかなり前に調達の見通しを立てておかなければならないのです。そのた め、キャリブレーションデータ管理ソリューションの購入は現実的ではなく、時には極めて効率の悪い手作業でのデータ管理もやむなしとされています。
ベクターは新しく「Software-as-a-Service」を提供することにより、上のような課題を持つお客様へのvCDMの導入をサポート します。ここでは必要なインフラストラクチャー (ハードウェア、ソフトウェア、データベース) をベクターが提供し、ユーザーはプロジェクト単位でそのサービスを必要な期間のみ利用することができます。そのため、調達や保守のコストは一切不要です。 運用に必要なサービス (データのバックアップやデータベースの保守など) はすべてその利用コストでカバーされます。年間の利用コストには1回分のソフトウェアのアップデートがデータ移行も込みで含まれており、ユーザーは常に最 新の製品機能を使用できます。また技術的な質問についても、ベクターサポートから回答を得ることができます。
このように、各部門ではCDMソリューションを手早く導入することができ、そのコストも完全に透過的に把握することが可能になります。
多彩なセキュリティー対策 (暗号化、クライアントの分離、ISO 27001) により、レベルの高いデータセキュリティーが保証されます。厳選された世界各地のコンピューティングセンターにより、スピーディーな応答が約束されます。
このSoftware-as-a-ServiceはvCDMバージョン5.8およびCANapeバージョン15.0からご利用いただけます。
- vCDMサーバーおよびデータベースのインストール、運用、保守はベクターのエキスパートが行い、お客様の社内的な負担は不要
- クライアントの分離とISO 27001認証によるレベルの高いデータセキュリティー
- サーバーコンポーネントの運用および保守に伴うコストはすべて利用料金に含まれます
- トータルなソリューションを迅速に提供
- お客様の要求に合わせたサーバーコンポーネントのスケール設定 (小規模、中規模、大規模)
- ベクターのエキスパートがお客様の技術的な課題をサポートします
ノウハウ
OBD認証ドキュメントを構成するパズルのピース

OBD-IIおよびHD OBDでは、自動車メーカーが認証機関から新型車両の認証を受けるにあたり、幅広い文書の提出が求められます。それらを作成するには、法的な要求事項に関する正確な知識、ECUのモニタリング機能の実装に関する詳細な仕様、多様な責任に関する知識、ECUのキャリブレーションパラメーターを洞察する力以外にも、さまざまなものが必要になります。これらの作業は複雑であるだけでなく、誤りがあれば認証を受ける車両ごとに罰金が科せられるおそれもあり、その形式と内容が正しいことが極めて重要です。
自動車メーカーやサプライヤーは、構造化されたプロセスでOBD認証ドキュメントを作成することによって、これらの課題を克服し、ナレッジベースを構築できます。vCDMをはじめとする統合型のツールは、関係するすべてのエンジニアをそれぞれのタスクに応じてサポートし、既存のナレッジの再利用を実用的な形で可能にします。これは大幅な時間の節約につながるだけでなく、誤りやそれに付随するコストの削減にも有効です。
関連情報
オペレーティングシステム:
Windows 10(32bit版または64bit版)
Windows 2016 WTS(32bit版または64bit版)
システム要件:
プロセッサ周波数: 3GHz以上
画面解像度: 1280 x 1024以上
メインメモリ: 2048MBの空き(RAM)
ハードディスク容量: プログラム用に1GB(vCDM、vCDMstudio、ASAP2 Studioの合計)、ファイルキャッシュサイズには最低1GBを推奨
サポートされるデータ形式
オブジェクトデータ形式 | インテルHEX、モトローラSレコード |
パラメーターファイル形式 | DAMOS DCM、CSV/CVX、MSR PaCo、ASAM CDF 2.0、CANape PAR、MATlab Mファイル |
ECU記述ファイルフォーマット | ASAM A2L、CANape DB |
レポート形式 | Excel®、PowerPoint®、Word®、PDF、HTML |
ダウンロード
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2021-01-26 アドオンフリーウェアvCDM 19.1 API Toolkit
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2021-01-22 製品資料vCDM
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2020-12-17 製品資料vCDM Fact Sheet
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2020-12-17 製品資料Product Information vCDM
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2020-04-03 アドオンフリーウェアvCDM 6.8 Application Programming Interface Documentation
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2019-01-17 製品資料System Requirements vCDM
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2019-01-07 導入事例ZF:パイロットから製品開発まで
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2018-09-27 PosterPowertrain Calibration Solutions Poster (PDF)
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2018-08-27 製品資料Product Information vCDM (日本語版)
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2017-12-21 テクニカルアーティクルOBD認証ドキュメントを構成するパズルのピース
ニュース/イベント
トレーニング

ベクター・ジャパンでは、ベクターのソフトウェアツール、ソフトウェアコンポーネント、最新のバステクノロジーやプロトコルに関する日本語のトレーニングを多数開催しております。トレーニングの概要につきましては、トレーニングポータルにてご紹介しておりますので、是非ご覧ください。