vCDMの概要
vCDM (Vector Calibration Data Management) は、キャリブレーションチームをサポートするプラットフォームであり、データベースによる成果物の一元管理が可能です。キャリブレーション結果は効率的に マージが可能で、マージ時に起こり得るデータの競合を回避、検出して解消します。すべての変更はトラッキングされます
メタデータ、依存性の管理、コンポーネント、パラメーター値の自動算出、ワークパッケージの再利用によって、数多くのバリアントを制御できます。データセットは一貫性があり、データの質が高く、データ解析やレポート機能でお客様の開発プロセスの品質と効率が改善します。
キャリブレーションデータはグラフカルに表示され、実績あるベクターのパラメーターエディター「vCDMstudio」によって手動編集が可能で、キャリブレーション担当者を強力にサポートする環境を実現します。
特長
- データのコンフリクトの回避、検出、解決により、チームの作業効率が向上
- すべての変更に対するトレーサビリティー
- vCDMの柔軟性:パワートレインやシャーシ、AUTOSAR Classic/Adaptive、Tier1と自動車メーカー、機能開発とシミュレーションなど、あらゆるアプリケーションドメインとECUアーキテクチャーをサポート
- vCDMには操作が簡単なvCDMstudioエディターが含まれ、これを使用してデータベースなしでファイルベースの操作を行うことも可能
- ドメイン固有のビューにより、キャリブレーションデータの特定の特徴を分かりやすい形で視覚化(OBD機能抑制マトリックスエディターなど)
- クラウドベースの現代的なシステムアーキテクチャーと、世界各地に分散したチームのサポート
- すべての操作を幅広いバリアントを想定して最適化
バージョン20の主な特長
- 新しいソフトウェア記述ファイル(A2L)へのキャリブレーションデータ移行にかかる時間を短縮
- 制御パラメーター値ルール(Control Parameter Value Rules)の変更をトラッキング
- Hexベースのデータセット管理機能の改善
- ML/SLデータディクショナリからのデータセット作成
- vCDM SaaSがMicrosoft Azureベースに
- 複雑な変更(Map 3x3からMap 4x5へ)を自動化する規則を作成
- すべてのバリアントデータセットの処理とワークパッケージの調整を一度に実行
- vCDMcenterやvCDMstudioで結果を確認
- 前バージョンよりも実行速度がアップ、メモリ使用量は減少
- ルールセットの変更を追跡し、取り消すことが可能
- チェック結果のログが実行時にアクティブなバージョンのルールセットを参照
- 一時的なルールの除外を承認
- CANdela CDDプロジェクトのバリアントコーディングサービスをデータセットとしてサポート
- 異なるコーディング文字列を編集/コピー/比較
- サーバーベースの変更の追跡
- CANoeのバリアントコーディング形式へのエクスポートをサポート
- グローバルにデータ複製を行うためのvCDMリポジトリーサーバーを基本ライセンスに付属
- vCDMweb – リリースされたキャリブレーションにブラウザーベースでアクセス
- ユーザーへのサービス通知
- HEXのみのデータセット管理(リリース管理)
- OEMとESP(エンジニアリングパートナー/外部キャリブレーションチーム)の分業をサポートするHEXデリバリーのオプション
- HEX未使用のデータセットのパーティショニングを改良
- MATLAB Simulinkリポジトリからのデータセット
- キャリブレータ―がパラメーターをデリバリーするための新しいスタンドアロンプログラムにより、オプションvCDMのプロセスを分離
- イントラネット(お客様のライセンスサーバー)によるベクターライセンスのアクティベーション
- Microsoft AzureベースのvCDM SaaSサービス
"Software-as-a-Service"モードのvCDM
限られたITリソース、シビアな予算

ECUの測定やキャリブレーションに用いられるソフトウェアとは異なり、データ管理ソリューションはシングルユーザーのソリューションではありませ ん。vCDMにはPCへのユーザーアクセスに加えて、サーバーとデータベースも含まれています。そして、vCDMの運用や保守には、一般的な業務ソリュー ションと同様に、IT部門のサポートが必要です。しかし、そのIT部門では、ちょっとしたIT作業にも限られたITリソースのやりくりが求められ、それに 大いに頭を悩ませることが少なくありません。結局、時間的な遅れや内部コストの増加が生じてしまうこともよくあります。そのため規模の小さい企業や部門で は、技術的なメリットは大きいものの、敢えてキャリブレーションデータの管理を行わないこともあります。
データ管理が必要になるのは、大抵はプロジェクトの技術的な要求に迫られた場合です。従来のソフトウェアライセンスモデルでは、データ管理ソリュー ションの調達コストはプロジェクト予算から支出せざるを得ません。つまり、予算立案のかなり前に調達の見通しを立てておかなければならないのです。そのた め、キャリブレーションデータ管理ソリューションの購入は現実的ではなく、時には極めて効率の悪い手作業でのデータ管理もやむなしとされています。
ベクターは新しく「Software-as-a-Service」を提供することにより、上のような課題を持つお客様へのvCDMの導入をサポート します。ここでは必要なインフラストラクチャー (ハードウェア、ソフトウェア、データベース) をベクターが提供し、ユーザーはプロジェクト単位でそのサービスを必要な期間のみ利用することができます。そのため、調達や保守のコストは一切不要です。 運用に必要なサービス (データのバックアップやデータベースの保守など) はすべてその利用コストでカバーされます。年間の利用コストには1回分のソフトウェアのアップデートがデータ移行も込みで含まれており、ユーザーは常に最 新の製品機能を使用できます。また技術的な質問についても、ベクターサポートから回答を得ることができます。
このように、各部門ではCDMソリューションを手早く導入することができ、そのコストも完全に透過的に把握することが可能になります。
多彩なセキュリティー対策 (暗号化、クライアントの分離、ISO 27001) により、レベルの高いデータセキュリティーが保証されます。厳選された世界各地のコンピューティングセンターにより、スピーディーな応答が約束されます。
このSoftware-as-a-ServiceはvCDMバージョン5.8およびCANapeバージョン15.0からご利用いただけます。
- vCDMサーバーおよびデータベースのインストール、運用、保守はベクターのエキスパートが行い、お客様の社内的な負担は不要
- クライアントの分離とISO 27001認証によるレベルの高いデータセキュリティー
- サーバーコンポーネントの運用および保守に伴うコストはすべて利用料金に含まれます
- トータルなソリューションを迅速に提供
- お客様の要求に合わせたサーバーコンポーネントのスケール設定 (小規模、中規模、大規模)
- ベクターのエキスパートがお客様の技術的な課題をサポートします
ノウハウ
OBD認証ドキュメントを構成するパズルのピース

OBD-IIおよびHD OBDでは、自動車メーカーが認証機関から新型車両の認証を受けるにあたり、幅広い文書の提出が求められます。それらを作成するには、法的な要求事項に関する正確な知識、ECUのモニタリング機能の実装に関する詳細な仕様、多様な責任に関する知識、ECUのキャリブレーションパラメーターを洞察する力以外にも、さまざまなものが必要になります。これらの作業は複雑であるだけでなく、誤りがあれば認証を受ける車両ごとに罰金が科せられるおそれもあり、その形式と内容が正しいことが極めて重要です。
自動車メーカーやサプライヤーは、構造化されたプロセスでOBD認証ドキュメントを作成することによって、これらの課題を克服し、ナレッジベースを構築できます。vCDMをはじめとする統合型のツールは、関係するすべてのエンジニアをそれぞれのタスクに応じてサポートし、既存のナレッジの再利用を実用的な形で可能にします。これは大幅な時間の節約につながるだけでなく、誤りやそれに付随するコストの削減にも有効です。
関連情報
オペレーティングシステム:
Windows 10(32bit版または64bit版)
Windows 2016 WTS(32bit版または64bit版)
システム要件:
プロセッサ周波数: 3GHz以上
画面解像度: 1280 x 1024以上
メインメモリ: 2048MBの空き(RAM)
ハードディスク容量: プログラム用に1GB(vCDM、vCDMstudio、ASAP2 Studioの合計)、ファイルキャッシュサイズには最低1GBを推奨
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ニュース/イベント
トレーニング

ベクター・ジャパンでは、ベクターのソフトウェアツール、ソフトウェアコンポーネント、最新のバステクノロジーやプロトコルに関する日本語のトレーニングを多数開催しております。トレーニングの概要につきましては、トレーニングポータルにてご紹介しておりますので、是非ご覧ください。