
PREEvisionはE/Eプロジェクトにおける開発拠点間の協力をサポートします。製品オプションのPREEvision Collaboration Platformによりプロジェクトチーム/開発チームは、必要なデータへの競合のない共通アクセスができます。
特長
- 中央データベースへの共通のアクセス(シングルソース)
- 「ロック/コミット」のコンセプトにより、競合のない連携が可能
- バージョン管理を通じて開発の状況を体系化
- 役割およびアクセス権の管理を自由に定義可能
- カスタマイズ可能なライフサイクル管理
- プロジェクトの作成、計画、モニターを支援する変更、プロダクト、リリース管理
- 変更履歴と変更マーカー
- Subversion (SVN) による統合型のファイル管理
ユースケース
PREEvisionは大規模な組織が複雑なE/Eプロジェクトを実施できるよう設計されており、すべてのE/E開発に対する一元的なデータバックボーンとして利用することができます。中央データベースがデータセットの一貫性を保証するため、全組織的なマルチユーザー操作が可能になります。

プロジェクトチームと開発チームは必要なデータに対するアクセスを共有しながらも、データ競合を発生させることなく、並行して作業できます。データセットをマージする高コストのプロセスは不要です。データセットの融合に必要な手間は最小限に抑えられています。また、インポートおよびエクスポート機能により、既存のツールおよびシステム環境への統合も簡単に行うことができます。
機能概要
「ロック/コミット」のコンセプト
このコンセプトでは、ハードウェアとソフトウェアのどちらのコンポーネントであっても、すべての操作を開発の設計要素に直接実行することが可能です。
これは、ロック操作を自動実行することで実現されます。設計要素への変更は、変更マーカーで簡単に特定できます。
この図は設計要素がマルチユーザー環境でどのように編集されるのかを示しています。User 1が設計要素の編集に入ると、他のユーザーはその設計要素の閲覧はできますが、編集はできなくなります(赤色のマーク)。User 1が「コミット」を実行してロック(緑色のマーク)を解除すると、その設計要素は再び全ユーザーで編集可能になります。
バージョン管理
PREEvision Collaboration Platformの統合型バージョン管理は、従来のバージョン管理のあらゆる要求を満たしています。ここでは、すべての設計要素の管理をバージョン単位で行うことが可能です。これらのバージョンはそれぞれの開発ステータスを反映し、チェックイ/チェックアウトのメカニズムを使用して実装されます。
バージョン付けはプロダクトラインのモデル全体、個々のモデルレベル、そしてそのサブパッケージに加え、1つの設計要素単位という細分化されたレベルでもサポートされます。バージョンは個別の設計要素に、またはそれらのパッケージに対して定義できます。
役割およびアクセス権管理
マルチユーザー操作では、役割およびアクセス権管理システムがデータへの制御付きアクセスを保証します。E/Eプロジェクト、ビューおよびパースペクティブ、設計要素のクラス、さらには特定のアクションに対するアクセスを、明示的に制御できます。
アクセス権と役割をどこまで細かく定義するかは、それぞれのプロジェクトで個別に指定できます。 PREEvisionでは、書込み/読込みまたは読込み専用のアクセス権を個々のコンポーネントのレベルにまで割り当てることができます。
この図は、4種類の役割の間でアクセス権がどのように設定されるのかの一例を簡略化して示したものです。
「Administrator」にはE/Eプロジェクトのすべての領域にフルアクセスできる権利がありますが、たとえば「Developer team B」の役割を持つPREEvisionユーザーは、プロジェクトにはいっさいアクセスできません。「Developer team A」には、プロジェクト全体とECUに対する読取りのみのアクセス権 (黄色の矢印) に加え、ソフトウェアコンポーネントに対する書込みのアクセス権(緑色の矢印) があります。これに対して「Product manager」の役割は、ECUの編集はできますが、ソフトウェアコンポーネントを見ることはできません(赤色の矢印)。
ライフサイクル管理
PREEvisionでは、ライフサイクルを用いてお客様の開発組織に適応したワークフロー管理を行うことができます。ライフサイクルとは、開発プロセスで設計要素に発生するステータスの流れを示すものです。
設計要素のライフサイクルにおけるステータスは設計要素の現在の開発状況と成熟度を反映し、これによってその設計要素が持つ特定の特性が変化します。これによって設計要素の開発状況がライフサイクルを通して追跡可能になります。
ライフサイクルモデルは個別の要求に合わせた設定や、企業における特定のプロセスに応じた調整が可能で、PREEvisionにはこれを目的としたオーソライゼーションモデルが別途用意されており、これによりステータスが変化した場合には自動的に電子メールを送信するといった、特定の順序に従ったアクションを定義できます。
ステータスのこういった変更は、設計要素をチェックインするなどの特定の操作に伴い、自動的に実施することもできます。ライフサイクルフェーズの設定または変更は一般にユーザーが手動で行いますが、自動的に制御されることもあります。
開発プロセスの間に設計要素のステータスがどのように変化したかの経過は、設計要素のライフサイクルの履歴に経時的に記録されています。
設計要素の現在の開発ステータスには、オプションでマークを付けることができます。マーキングにより、各ステータスが一目で見分けられるようになります。たとえば変更管理の領域では、編集予定の設計要素、すでに編集の割当てが行われている設計要素、編集が完了し、クローズされた設計要素などを簡単に判断できます。
統合型の変更管理には、変更要求を管理下で構造的に実装するための機能が用意されています。これによって、すべての設計要素に対する変更要求とエラーを効率的に、しかも一貫性を持ってフォローアップできます。
PREEvisionでは変更要求や不具合を「チケット」ベースで管理でき、この「チケット」をモデルを構成する設計要素にリンクすることも可能です。変更管理には、変更プロセス内の個々のステップを対象とするさまざまな機能や補助機能が、ビューやエディターの形で用意されています。
統合型のプロダクトおよびリリース管理には、プロジェクト、プロジェクトのアクティビティー、リソースを作成、計画、モニターするための機能が用意されています。
PREEvisionはグラフィックエディターやテーブル対応のエディターを装備し、プロダクトおよびリリース管理のすべてのフェーズをカバーします。
ファイル管理
PREEvision Collaboration Platformでは、データのバージョン付けが可能であるだけでなく、統合型のファイル管理機能もオプションで使用できます。リビジョンやブランチのファイルもデータと同様にバージョン付けできます。
ディレクトリー構造全体は、統合されているSubversion (SVN) システムを使用して管理できます。ここでは、PREEvisionの役割およびアクセス権管理もデータの競合防止を助けます。これは外部SVNクライアントが使用されている場合も適用されます。
大規模なディレクトリー構造、たとえばテストデータ管理やMATLABモデルのデータ管理などのユースケース向けの基本機能を形成するディレクトリー構造を処理する際は、いわゆるSVNワーキングコピーが作成され、このディレクトリー構造がSVNのバージョン付けプロセスに接続されます。