E-モビリティーのためのCANoe – 充電通信を解析、シミュレーション、テスト
CANoeオプションSmartChargingは、CANoeを拡張し、充電中の電気自動車(EV)や充電ステーション(EVSE)の通信動作をシミュレーションするためのオプションであり、EVやEVSEの充電コントローラーの開発で、通信パラメータをさまざまな値に変化させて通信相手を柔軟に模擬し、コントローラーの機能を検証するのに理想的なツールです。自動的な通信シーケンスに加えて、任意のタイミングで各種通信メッセージを個別に送受信でき、このような機能により、テストケースを手間なく簡単に実装できます。
CANoeとのシームレスな統合により、以下のようなその他の機能を、テスト設定に適宜追加できます。
- 完全なシステムをテストするための電源と電子負荷の統合
- 充電コントローラー、オンボードチャージャー(OBC)、バッテリー管理システム(BMS)といった他のコンポーネントの通信を時刻同期して解析するために他の通信ネットワークの追加
ダウンロード
特長
- 被試験システム(SUT)の通信相手を模擬してテストを実施
- シミュレーションパラメーターが多岐に渡るテストも実行可能
- 通信シーケンスを手動または自動で実行するようなテストケースを柔軟に作成
- DIN 70121、ISO/IEC 15118、GB/T 27930プロトコルに準拠したアプリケーションの開発に対応
- CANoe Security Managerのセキュリティー証明書の管理機能と公開鍵基盤(PKI)対応により、Transport Layer Security (TLS)をサポート
適用分野
国際標準規格であるIEC 61851、DIN 70121、ISO 15118、GB/T 27930、CHAdeMO(製品機能は開発中)に基づき、 電気自動車と充電ステーションの間の通信を解析、シミュレーション、テスト。
機能
- 電気自動車や充電ステーションの充電プロセスを通信レベルでシミュレーション:
- すべての主要パラメーターをXMLファイルで設定(DIN 70121/ISO 15118)
- 電気自動車と充電ステーションの間の充電プロセス中の通信を解析:
- トレースWindowでのメッセージの解釈
- ログファイルに記録した通信のオフライン解析
- Combined Charging System (CCS) 標準規格のSignal Level Attenuation Characterization (SLAC) およびVehicle-to-Grid (V2G) プロトコルをサポート
- 重要なメッセージ内容をモニタリングおよびロギング:
- 各種充電パラメータを変数として保持、さまざまなウインドウに表示可能(DIN 70121/ISO 15118))
対応する標準規格
- IEC 61851
国際標準規格のIEC61851は充電ケーブルのControl Pilot (CP) ライン上のPWM信号を使用した、ハードウェアによる基本充電通信を規定しています。 この基本充電通信は上位プロトコルのDIN 70121およびISO/IEC 15118を利用する通信の前提条件です。 - ISO/IEC 15118
国際標準規格のISO/IEC 15118は、電気自動車(EV)と充電ステーション(EVSE)の間の通信を定義しています。これによってACおよびDC電圧での充電が可能になります。充電プロセスは外部認証方式(EIM)によって、あるいはTLSで暗号化された Plug-and-Charge (PnC) 方式を用いる自動認証によって、充電を許可し開始できます。ISO/IEC 15118はCombined Charging System (CCS) の一部です。これでは通信プロトコルだけでなく、プラグコネクターなどのその他のコンポーネントも定義されています。これは主にヨーロッパと米国で使用されています。 - DIN 70121
ドイツの標準規格のDIN 70121もCombined Charging System (CCS) の一部ですが、これでは外部認証方式(EIM)による、DC電圧での充電のみが規定しています。 - GB/T 27930
中国の標準規格のGB/T 27930は、充電ステーション(EVSE)と電気自動車(EV)の間の、DC電圧を使用した充電を規定しています。 - CHAdeMO
日本の標準規格のCHAdeMOは、充電ステーション(EVSE)と電気自動車(EV)の間の、DC電圧を使用した充電を規定しています。
要件
CANoeオプションSmartChargingは、アプリケーションレイヤーをはじめとする上位通信レイヤーの通信のみを扱います
- トランスポートレイヤーなどの下位通信レイヤーについては、使用する特定の標準規格に対応したCANoeオプションが別途必要になります
- Combined Charging System (CCS) のDIN 70121およびISO 15118の両標準規格にはオプションEthernetが必要です
- GB/T 27930標準規格にはオプションJ1939.が必要です
- CHAdeMO標準規格には、CANoeに付属するオプションCANが必要です
関連情報
動作にはCANoe 11.0 SP3以上が必要です。
コンポーネント | 推奨要件 | Minimum |
CANoeのバージョン | ‐ | ≥ 11.0 SP3 |
CPU1 | Intel互換 | Intel互換 |
メモリー(RAM) | 16GB | 4GB |
ハードディスク容量2 | ≥ 20GB SSD | ≥ 3GB |
画面解像度 | フルHD | 1280×1024ピクセル |
オペレーティングシステム | Windows 10(≥バージョン1709) Windows 8.1 Windows 7(≥ SP1) |
1 CANoe.SmartChargingにはコア数が多いよりもクロックレートが高い方が有利
2 使用するオプションとオペレーティングシステムコンポーネントに依存
CANoeは以下の言語でご利用いただけます。
- 英語
- ドイツ語
- 日本語