ベクターRemote D-PDU API
D-PDU APIとは?
ベクターD-PDU APIは、車両通信インターフェイス(ISO 22900-2、VCI)にアクセスするための、標準化されているプログラミングインターフェイスライブラリです。このライブラリは診断アプリケーションに対して、通信プロトコル(UDSなど)の実装だけでなく、車両通信インターフェイス(VCI)ハードウェアを抽象化します。
D-PDU APIはあらゆるタイプの診断やフラッシュアプリケーションに対応するよう、特に留意して設計されています。そのため、この標準化インターフェイスに基づくアプリケーションは、同じく標準APIを持つ異なるベンダーのVCIでも動作させることができます。
Remote D-PDU APIとは?
D-PDU APIを実装してハードウェアインターフェイスとの間を標準化した診断アプリケーションは、D-PDU標準を実現している部分をベクターRemote D-PDU APIで置き換えることで、インターフェイスとの間をリモート化することができ、アプリケーションに手を加えることなく車両との診断通信を地理的な制限なく実現できます。D-PDU API ベースのアプリケーションをインストールしたPC(「診断エキスパート」)と、VCI経由で車両に接続したPC(「アクセスポイント」)それぞれを、インターネット経由で接続することでリモート診断を実現します。
D-PDU APIベースのアプリケーションを、隣室のラボにあるテストベンチに対しても、あるいは地球の反対側にある車両に対しても、インターネット接続環境があれば距離を問わず使用できるようアップグレードします。
特長
簡単なリモート側環境の準備
- 車両側PCのアクセスポイントのソフトウェアは、ベクターのホームページから簡単にダウンロード
- 既存PC(VCI)へのアクセスポイントのインストールに管理者権限は不要
- アクセスポイントソフトウェアの使用は無料で、独立したライセンスも不要
既存診断ツールの通信部分を置き換えて、すぐにリモート対応
- 既存の診断テスターやフラッシュツールであらゆる場所の車両、システム、ECUと通信
- アクセスポイントのダウンロードとインストール、そしてその後の接続設定を済ませれば、それ以上の使用準備は不要
- ベクターRemote D-PDU APIは、既存のD-PDU APIライブラリと同様に、標準規格に準拠した形でPC上に登録され、ユーザーは自分のアプリケーションで使用するD-PDU I/Fを指定
安全なセッションを確立する環境も用意され、すぐに始められる
- D-PDU APIベースのアプリケーションをインストールしたコンピューターとアクセスポイントが安全な接続を介して通信。接続はリモートアクセスポイントのユーザーが開始し、リモート側のエキスパートはセッションの一時IDを入力した後に接続
適用分野
生産ライン上の車両
生産ラインで車両、システム、ECU、あるいは新しいバージョンのソフトウェアに関わる深刻な問題が発生したという場合、エキスパートや開発者に詳しく解析してもらうことが理想ですが、そういった人材を複数ある量産工場に派遣できるわけではありません。
Remote D-PDU APIを実装したアプリケーションを使用することで、エキスパートがリモートでその車両の問題を調査できます。問題の原因を速やかに割り出し、是正措置を講じることができるので生産のダウンタイムを最小にできます。
テスト走行中の車両
テスト走行中に異常な挙動が生じたが、それが非常に特殊な運転状況でしか発生しないという場合、その場でエキスパートや開発者に詳しく解析してもらうことが理想的ですが、そういった人材を複数あるテスト車両に常に付き添わせるわけにはいきません。
Remote D-PDU APIを実装したアプリケーションを使用することで、エキスパートが遠隔地からテスト車両の異常を調査できます。もちろん走行中もです。その場で運転状況を再現し、原因究明または対策後の結果を確認できるので試験を有効に行えます。
連携プロジェクトでのシステムインテグレーション
複数OEM連携プロジェクトでは、開発元もその所在地もそれぞれ異なるさまざまなシステムを、1台の車両に統合することが少なくありません。そういったケースでは、インテグレーション作業は非常に難しくなります。まずそれらのシステム同士を最適に動作させるための調整が必要になるためです。スケジュールに従い作業開始からインテグレーションを進める間、これに関わるすべてのシステムのエキスパートが一緒に作業できることが理想ですが、全員を現場に集めるのは現実的ではありません。
Remote D-PDU APIを実装したアプリケーションを使用することで、問題が発生したときにその担当エキスパートがリモート接続できます。エラーの原因を速やかに割り出し、解決の手順の合意を得ることで全体の作業を効率的に進めることができます。
修理工場に持ち込まれた車両の不具合
修理工場では、エキスパートの助けなしでは技術者にも問題の原因が分からない場合があります。しかも、オーナーが対応を待ちかねている一方で、そういった問題を突き止めて修正するのは難しく、特に電話でのサポートまたはログデータを送ってのオフライン検証では時間がかかります。
エキスパートにとっては、リモートで開発に段階でも利用している診断テスターを使用し、現場の工場のスタッフの力を借りながら、あるいはソフトウェアを更新するツールを利用しながら、その車両を直接検査できれば好都合です。
Remote D-PDU APIを実装したアプリケーションを使用することで、エキスパートはまさにこれを遠隔地から行うことができます。問題の原因を速やかに割り出し、是正措置を提示できるので車両を長期間預かることなく対応できます。

機能
対応バスシステム:
- CAN、CAN FD
対応標準規格:
- ISO 22900-2:2017
対応ISO 22900-2プロトコル:
- ISO UDS on CAN (ISO_15765_3_on_ISO_15765_2)
- KWP2000 on CAN (ISO_14230_3_on_ISO_15765_2)
- ISO RAW CAN (ISO_11898_RAW)
- ISO OBD on CAN (ISO_OBD_on_ISO_15765_4)
対応ネットワークインターフェイス
- ベクターRemote D-PDU APIはベクターのCANインターフェイスで使用できます
- または、インテリジェントな診断およびフラッシュデバイスVN8810を現場のRemoteアクセスポイントに使用できます。この場合、VN8810は車両に接続するPCとVCIとして機能します
- ご要望に応じて、他サプライヤーのVCIの接続も可能です。お気軽にお問い合わせください
関連情報
ファクトシート:
- 製品の概要 (PDF)