CANbedded LINの概要
CANbedded LIN通信には、すでに10年間で約100件のプロジェクトでの使用実績があります。ハードウェアとコンパイラーの40種類以上の組み合わせに対応しており、ご要望があれば追加の組み合わせもサポートします。
CANbedded LIN通信は、LIN通信スタックで実装され、標準のソフトウェアコンポーネントで構成されています。LIN仕様1.2、1.3、2.0および 2.1/2.2(A)、J2602に加えて、マルチチャンネルLIN構成をサポートします。各コンポーネントは、リソース要件を低減するためにコードサイ ズと実行時間について最適化されています。
特長
- 汎用コードに基づいた標準ソフトウェアコンポーネントは、アプリケーション固有の機能に合わせて拡張可能
- パラメーター設定および構成の自動生成
- 効率的なランタイム
- ROMやRAMなどの限られたリソースに対する効率的な活用
- アプリケーションへの簡単な統合
- ベクター製品の解析ツール、シミュレーションツール、キャリブレーションツールとの互換性
- LIN 1.2/1.3/2.0/2.1/2.2のサポート
- マルチチャンネルLINの設定のサポート
適用分野
LINは自動車プロトコル標準の1つとして開発されましたが、自動車エンジニアリングなどの他の分野でも採用されています。LINでは、低データレートのECUサブシステム用の低コスト通信ネットワークであることを重視しています。よってLINは既存のバスプロトコルを補完するものとなっています。
機能

LINネットワークは、「LIN構成言語仕様」によるLDF(LIN Description File)形式で記述されます。これには信号、メッセージ、ボーレートおよびスケジュールテーブルの定義などすべての情報が含まれています。設定ツールを使用して、すべてのLINソフトウェアコンポーネントをECU 固有の要求に適応させます。このツールでは、LDFまたはNCF(Node Capability File)のいずれかをインポートしてパラメーター設定を行います。
- ネットワークの設計に従ってECU固有パラメーターを適合
- ECU固有のプロパティーに対するLINドライバーのコンフィギュレーション(オシレーターの周波数、UARTなど)
- LINスレーブECU用の診断サービスの設定
- メッセージおよびシグナルのコールバックの定義
LINソフトウェアコンポーネントのソースコードはコンパイルおよびリンクされ、アプリケーションと統合されます。ベクターのLINシミュレーションツールおよび解析ツール(CANoe .LINやCANalyzer .LIN、オプションScopeなど)は、インテグレーション、解析、テストに有効です。アクセスする物理バスに従って、ベクターのXLインターフェイスのいずれかをご利用いただけます。これらの製品は、LINバス用のユニバーサルシリアルバスインターフェイスです。
LINソフトウェアコンポーネントのタイミングコントロールは、アプリケーションやオペレーティングシステムから周期的にタスクを呼び出すことによって行います。そのため、LINドライバーにタイマーは不要です。
ベクターの基本目標は、使いやすく、すべてのアプリケーションに十分に適応可能なインターフェイスを提供することです。標準化されたインターフェイスには、以下の機能を提供します。
- LINハードウェアの初期化
- ユーザーが設定可能なボーレート(推奨: 2400、9600、19200Baud)
- LINメッセージの送信(フラグおよびコールバック関数による確認)
- LINメッセージの受信(フラグおよびコールバック関数による確認)
- スリープおよびウェイクアップ処理
- プロトコルエラーの処理
- メッセージのタイムアウト検出
- 開発時のためのランタイム動作チェック(デバッグ)
LIN通信では、2つのコンポーネントが必要です。1つは、ハードウェアに依存した低レベルのコンポーネントであるSIOドライバーで、これは異なったターゲットシステムのシリアルインターフェイスにアクセスするために使用されます。これに、2 つ目のコンポーネントであるLINドライバーを重ね、APIを上位レベルのコンポーネントに提供します。このAPIは、現在のLIN仕様のすべての要件を満たしています。
LINドライバーは、ネットワークのマスター/スレーブノード間で通信を行うための標準化されたソフトウェアコンポーネントです。設定ツールで簡単に機能設定できます。LINドライバーはベクターのCANbeddedコンポーネントの1 つであり、これによってCANコンポーネントとの整合性のある統合が約束されるうえ、MICROSARソフトウェアと組み合わせても使用できます。
これによって、通常マスターネットワークノードとして実装されるCAN-LINゲートウェイを簡単に実装することができます。
マスターECUには通常、テスターから診断を行うための補助のCANチャンネルがあるので、LINマスターの主な仕事は、受信したテスター要求を対応するLINスレーブに渡すことです。これにはLIN診断トランスポートレイヤー(DTL)が使用されており、LIN 2.0/2.1/2.2の仕様に準拠する2 種類のAPIを提供しています。
- DTL Rawはデータがすでに分割されている場合に(LINでCAN TPメッセージをルーティング)使用されます
- DTL Cooked は集められた診断データを受け付けし、LINバス要件に従ってそれを分割します (Diagnostic Service Data Units)
LINdiagでは、LINスレーブECU用のUDS 14229.1診断が非常にコンパクトに実現されています。リクエストの受信、適切なサービスへの伝送、アプリケーションとやりとりする場合のレスポンスの作成を行うことができます。また、診断バッファーを内部で管理しており、データの整合性やオーバーランを監視します。LINdiagでリクエストやレスポンスの送受信を行うには、製品に同梱されるLINトランスポートプロトコルが必要です。
- スレーブECUのオプション:診断ソフトウェアコンポーネントと関連するトランスポートプロトコル
- マスターECUのオプション:トランスポートプロトコル(raw APIまたはcooked API)
- ゲートウェイ: マスターECU用のCAN-LINおよびLIN-LINのルーティング
- SAE J2602: SAE J2602の規格「Recommended Practice」のLINドライバーでのサポート
- LINスレーブのFlashing
- Calibration over the XCPonLIN protocol
関連情報
プロダクトインフォメーション:
- 製品の詳細情報 (PDF)
Availability:
- サポートされるコントローラーとコンパイラー (英語版PDF)
Supported OEMs:
- List of supported OEMs (英語版PDF)