データの記述の概要
ECUアプリケーションでは、以下の3つの記述ファイルが重要な役割を果たします。
- ECUの内部変数
- 多様な通信ネットワーク
- 診断サービス/データおよびフラッシュプロセス

CANapeには、あらかじめすべての記述ファイルに対応する各種ビューアーとエディターが用意されているため、容易に表示と編集ができます。 また、A2L、ARXML、DBC、FIBEX、LDF、CDD、ODXファイルなどを容易に作成できる、専用のオーサリングツールも用意されています。
ファイル形式 | CANape のサポート | 関連製品 |
A2L | ASAP2 Editorによる編集 | |
ARXML | AUTOSAR Explorerによる視覚化 | |
DBC | CANdb++ Editorによる編集 | |
LDF | LIN Explorerによる視覚化 | |
FIBEX | FIBEX Explorerによる視覚化 | |
CDD | CDD Viewerによる視覚化 | CANdelaStudio |
ODX-C, ODX-D | ODXStudio Viewによる視覚化 | CANdelaStudio |
ODX-F | ODXStudio Viewによる視覚化 | ODXStudio |
ECU内部パラメーターの記述ファイル
記述ファイルにより、ユーザーは、シンボル名を使用して、ECUの内部パラメーターにアクセスできます。A2Lファイルは、あらゆる測定とキャリブレー ション操作の基本的なコンポーネントです。注意すべき点は、CCP、XCPの各プロトコルが、操作ではアドレス単位であることです。ユーザーがシンボル名 でオブジェクトを選択し、CANapeが、A2Lから関連するアドレスを取得し、ECUとの通信に使用します。
A2Lデータベースの内容
ASAP2記述ファイル(別名: A2L)には、特性(パラメーター、特性カーブ、特性マップ)、実および仮想測定変数、バリアントの依存関係など、ECU内の関連データオブジェクトに関する情報がすべて含 まれています。各オブジェクトには、メモリーアドレス、ストレージ構造、データ型、物理単位に変換するための変換規則などの情報が必要です。また、A2LにはCANapeとECU間の通信用のパラメーターも含まれています。
ECU内部変数のデータ記述を支援
CANapeにはASAP2形式のECU記述ファイルを簡単に編集できるエディターが内蔵されています。また、ECU記述ファイルの操作には、以下のツール(別売)をご利用いただけます。
ASAP2ファイルの生成、更新、マージおよび比較 | |
ASAP2ファイル読込みのための関数ライブラリ |
A2Lファイルの生成
手動での生成
リンカーマップファイルの情報を使用すれば、CANapeからA2Lファイルの生成が行えます。通信固有のデータをA2Lで定義するには、CANape(XCP on FlexRay、CCP on CANなど)で適切な新しいドライバーを作成して、設定を保存する必要があります。
ECUの測定パラメーターおよびキャリブレーションパラメーターは、オブジェクト名を使用してリンカーマップファイルから選択できます。また、エディターを使用 すれば、最小値、最大値の入力、グループ分け、変換規則とストレージスキームの定義など、その他すべての設定が簡単に管理できます。
Cコードパーサーによる自動生成
Cコードで記述された特殊なコメントは、A2L Creatorが解析します。A2L Creatorは、ASAP2 Tool-Set のコンポーネントとして提供されます。
ソフトウェア開発者は、並列データベースでオブジェクトを再び定義する必要はなく、Cコードでコメ ントの形式で定義します。このため、コードと別個のデータベースの間で矛盾が生じるリスクが最小限に抑えられます。ソフトウェア開発者は、適切なポイント でコードを直接変更します。また、コメントは、そこに配置されるので、開発者はすべての変更を1箇所で行うことができ、別のツールで変更を更新する必要が ありません。
パーサーは、Cコードを検索してコメントを探し、コメントから部分的なA2Lを生成します。A2Lでは、測定パラメーター、キャリブレーションパラメーターが表示されます。
A2Lの通信セクション、複雑な変換規則を含む他の部分的なA2Lファイルは、別のステップでマージして完全なA2Lに変換し、リンカーマップファイルの現行アドレス情報で更新できます。

アドレスの更新およびA2Lファイルのマージ
CANapeのASAP2 Editorは、リンカーマップファイルからアドレス情報、データ型情報を読込んで、A2Lファイルを更新します。また、ASAP2 Editorを使用して、既存のA2Lファイルを部分的なサブファイルに細分、またはそれらを再びマージすることができます。
自動化されたビルドプロセスを設定する際に、ASAP2 Tool-Setは、ASAP2 Creator、ASAP2 Updater、ASAP2 Merger、ASAP2 Comparer、ASAP2 CheckerおよびASAP2 Modifierの各プログラムによるサポートを提供します。
サポートされるコンパイラーとマップファイル形式
- 標準(CANape固有の形式)
- Archimedes HC11
- Borland C++(16ビット)、Borland C++(32 ビット)
- COFF、COFF/DWARF
- Cosmic
- DIABDATA
- ELF/DWARF/NEC
- Fujitsu Softune MP1/MAP、Fujitsu Softune MPS
- Greenhill Multi 2000
- GNU、GNU C16x、GNU VxWorks、GNU 68k
- Hitachi HEW SH7055
- HiTech 68HC05 and H8S
- Hiware HC12
- IAR
- ICCAVR
- IEEE (Tasking、Cosmic、Microtec)
- ISI MatrixX
- Keil 16x、Keil 16x (Static Symbols)、Keil 8051
- LN308 (MITSUBISHI) for M16C/80
- Metroworks
- Microsoft (Standard VC8、Microsoft Extended、PDB)
- Microware Hawk and Hawk Plug&Play ASCII
- NEC CC78K/0 v35
- OMF96、OMF96 (Tasking C196)、OMF166 (Keil C166)、OMF251 (Keil C251)
- Renesas M32R/M32192 ASCII
- SDS
- Tasking ASCII 16x (M166)
- Texas Instruments TMS470、C6711
- UBROF
- VisualDSP
- VisualDSP DOS
- Watcom
上記以外の形式が必要な場合は、 こちらまでご連絡ください。
多様な通信ネットワークの記述ファイル

CANapeは、ECUの内部パラメーターの編集だけでなく、CAN、LIN、FlexRayの各バスシステムのデータストリームにアクセスすることもできます。個別の記述ファイルは形式が異なっており、ベクターのDBC形式はCANバスの業界標準として確立されています。LINバスの記述形式としては、 LINコンソーシアムがLDF形式(LIN記述ファイル)を定義しています。ASAM e.Vの指揮下で開発されたFIBEX(Field Bus Exchange)形式は、バスに依存しない形式で、現在、FlexRay用に使用されています。
DBCファイルを表示、作成するためのエディターは、CANapeに統合されています。
バスシステム | 形式 | CANapeのサポート |
CAN | DBC | CANdb++ Editorによる編集 |
LIN | LDF | LDF Explorerによる視覚化 |
FlexRay | FIBEX | FIBEX Explorerによる視覚化 |
診断およびフラッシングの記述
CANapeでは、KWP2000とUDSの両プロトコルによる診断データおよびサービスへのアクセスが可能です。これにはODXまたはCDDのいずれかの形式による記述ファイルが必要です。
OBDデータへのアクセスでは追加の記述ファイルは必要ありません。必要な情報はあらかじめCANapeに登録されています。CANapeはODXおよびCDD形式の診断データを読み込み、統合されているビューアーにそれらを表示します。
さらに、CANapeはvFlashプロジェクトを利用して、CCP/XCPおよび診断プロトコルによるフラッシュもサポートします。
ファイル形式 | CANapeのサポート | データ編集ツール(別売) |
ODX | ODXStudio Viewerによる診断データおよびサービスの視覚化とそれらへのアクセス | |
CDD | CANdelaStudio Viewerによる診断データおよびサービスの視覚的とそれらへのアクセス | |
vflash、 vflashpack | vFlashプロジェクトを利用したECUのリプログラミング |