採用広がる車載Ethernet、自動運転やコネクテッドの要
ベクターの「CANoe.Ethernet」が「OPENAlliance TC8」に対応

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本稿は日経Automotive 2019年9月号「イベントレポート:採用広がる車載Ethernet、自動運転やコネクテッドの要」に掲載された弊社講演を基にした記事広告を転載したものです。

 

コネクティビティ、電動化、自動運転の実現に向けて、車載Ethernetの導入が本格化している。自動車向け組込ソフトウエアと開発ツールを提供するベクターが、車載Ethernet開発で求められるテスト環境、とくに「OPEN Alliance TC8」へ対応するための手法について紹介した。

Ethernetは時代の要請

図1: 自動車業界の3つのメガトレンド
「コネクティビティ」「電動化」「自動運転」によって、車載ネットワークとE/Eアーキテクチャーが大きく変化する。その変化に対応するためには、車載Ethernetの導入は必然だ。

自動車業界のメガトレンド「コネクティビティ(IoT)」「電動化」「自動運転」によって、車載ネットワークとE/Eアーキテクチャーの姿が大きく変貌しつつある(図1)。コネクティビティの実現で、ECU上で動くソフトウエアのアップデート、外部連携するインフォテインメントシステムを通じた利便性の高い情報提供、車車間通信による高度な運転支援が可能になる。また、電動化の進展で、エネルギー効率の高い駆動制御や48V電源システムが導入されつつある。自動運転車では、高解像度なカメラやLiDARから得たデータを基に走行環境を把握する高性能な車載コンピューターが搭載されるようになる。

こうしたメガトレンドに沿ってクルマを進化させるためには、これまで以上に高速な車載ネットワークと高性能な車載コンピューターに処理機能を集中させるゾーン型E/Eアーキテクチャー、さらにはクルマに搭載する機能を自在に追加・変更して高度なサービスを提供できる仕組みの採用が欠かせない。ところが、従来の車載ネットワークであるCANLINでは、こうした高度な技術の要求に応えることはできない。欧州や北米、日本の自動車メーカー各社は、来るべき時代の技術要求に対応すべく、より高速な100BASE-T1や1000BASE-T1など車載Ethernetを、先進運転支援システム(ADAS)やインフォテインメント、車載ネットワークのバックボーンに導入を始めた。

車載Ethernetは、汎用性の高さにも特長がある。IT分野で使用されるIPv4/ARP/ICMP、UDP/TCPなど以外に、音声や動画の時間同期が可能なAVTP、遅延時間の制約が厳しい用途に向けたTSNなど、目的に応じてプロトコルを使い分けることができるからだ。今後、10Mbpsの10BASE-T1を、既存のCANなどに置き換えれば、車載ネットワークがEthernetによって統一できる可能性もある。こうした時代を見据えて、「ベクターは、次世代車で求められる技術を見定め、効率的で確実な開発を支援する組込ソフトウエアと開発ツールをタイムリーに提供していきます」と竹本氏は言う。

既に、自動運転に適用する高性能処理やセキュリティー、動的システム構成などに向けた標準ソフトウエア・プラットフォーム「AUTOSAR Adaptive Platform」に対応する組込ソフトウエア「Adaptive MICROSAR」の提供を2018年から開始している。2019年には量産版、2020年にはASIL D対応版のリリースも予定している。また、測定・解析、シミュレーション用のテストツールである「CANoe.Ethernet」をはじめとする車載Ethernet対応の様々な開発ツールも提供。CANoe.EthernetをECUテスト用インターフェース「VT6306」と併せて使えば、ECU間や様々な電装機器との間の通信を、信号の品質劣化、信号線の短絡、電源/グランドとの短絡といった使用中に起こり得る不具合を作り出しながらテストできる。

TC8用テスト環境を用意

図2:CANoe.Ethernet TC8テストコンフィグレーション
CANoe.EthernetではTC8に標準対応する。vTESTstudioを使うことで、テストを自由に編集・追加できる。さらに、ゴールデンデバイスによって、動作確認も容易になる。

本格的な車載Ethernetの導入を前に、OPEN Allianceは、車載Ethernetに対応するECUの妥当性確認テストの仕様「Automotive Ethernet ECU Test Specification(TC8ECUTest)」を策定。823のテストケースを想定し、物理層、スイッチ、ARPなどMAC層、TCP/IP、DHCPやSOME/IPなどのプロトコルをテストする。同社は、TC8に準拠したテストをより効率的かつ確実に実施できるテスト環境の構築を支援するため、テストシーケンス作成ツール「vTESTstudio」とCANoe.Ethernetを組み合わせて、TC8テストコンフィグレーションを開発した(図2)。TC8のテスト仕様を理解するためには、模範的に動くECUであるゴールデンデバイスがあると非常に有用だ。CANoeはそれも模擬できる。

TC8実施に伴う4つの課題

TC8対応のテスト環境の登場で、円滑なテストの実施が可能になったが、まだいくつか留意すべき点が残っているようだ。「TC8対応のテストシステムを開発する過程で、これまで見えなかった4つの課題が浮かび上がってきました。TC8対応のテストツールを購入して活用する際には、こうした課題への対処をクリアにしておく必要があります」と竹本氏は語る。

まず、「スタブの実装」に関する課題。テストを実施する際、テストシステムからテスト対象(DUT)に、「TCPの通信を開始」といったコマンドを送る。しかし、こうしたテスト用コマンドは、DUTとなるECUにあらかじめ仕込んでおく必要がある。その際、コマンドによっては、通信スタックに手を入れることになり、量産時にそれを削除すべきか、搭載したままにすべきか悩ましい。削除するとテスト時と量産時でソフトの構成が変わることになり、搭載すれば脆弱性の懸念や不具合の要因となる可能性があるからだ。

次に、「テスト制御プロトコル」に関する課題。例えば、ARPをテストする際には、テストシステムとDUTの間で「ARPリクエスト」と「ARPレスポンス」を交わす前に、ECUのスタック中にあるMACアドレスとIPアドレスの関係を記した「ARPテーブル」をクリアするコマンドを送る。このコマンドには、「AUTOSAR Testability Protocoland Service Primitives」という規格で定められたものを使うのだが、すべてが定義されているわけではない。ツールベンダーが、独自にコマンドを定義して実装する必要がある。すると、ベンダーごとにコマンドの違いが生じてしまう。

そして、「パラメーターの設定」に関する課題。TC8では、想定するテストケースが多いため、当然、扱うパラメーターの数も多くなる。テスター側では、一定の条件を基にパラメーターを設定するが、それはIPアドレスやECUによって異なる。使用するUDPポートやTCPポートが自動車メーカーごとに異なるのが普通だ。このため、簡単に設定してすぐに使えるわけではない。

最後に「テスト仕様」に関する課題。TC8の中で、最もテストケースが多いのはTCPを対象としたものであり、222ケースある。テストの結果、エラーが発生した場合には、多種多様なTCPの仕様とその一つひとつのテスト仕様について理解し、対処する必要がある。TC8に準拠したテストならば、最低限の相互接続を確保できる。しかし、あくまでも最低限であり、アプリケーションごと、自動車メーカーごとに定めた、より厳格なテストの実施が欠かせない。ベクターのCANoe.EthernetをベースとしたTC8テストコンフィグレーションならば、「標準的なTC8対応のテストに加え、独自仕様のテストにも柔軟に対応できます」と竹本氏は語った。

オプションEthernet

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