車載Ethernetのためのソリューション
Ethernetテクノロジーは、車両内の通信、測定およびキャリブレーション、DoIPによる診断、電気自動車と充電ステーション間の通信などに使用されています。その他にもインフォテインメントや、自動運転で期待されるADAS機能などのユースケースが車載Ethernetを牽引しています。Ethernetはまた、E/Eアーキテクチャーの多様な通信ドメインを接続するデータバックボーンにも使用されます。
自動車メーカーとサプライヤーは、サービス指向通信の導入をはじめとする幅広い課題に直面しています。セキュリティーの果たす役割も重要です。ベクターはあらゆる種類のプロフェッショナルなツール、ベーシックソフトウェア、トレーニング、そしてサービスを通じて、皆様をサポートします。

特長
- 長年にわたる車載ネットワークの経験で培われた、成熟した製品と比類のないサービス
- 100BASE-T1(旧OPEN Alliance BroadR-Reach®)、1000BASE-T1、100BASE-TXなど、あらゆる重要な物理レイヤーのサポート
- 新しい技術を既存の車両アーキテクチャーに簡単に統合するための、一貫性のあるマルチバスツールチェーン
- OPEN AllianceやAUTOSARなどの委員会への参加やユーザーとの緊密な協力による実践的なソリューション
設計
ベクターのEthernetツールチェーンは、Ethernetを利用した、今日の車載分散システムの設計、実装、テストを簡素化します。

設計ツール | |
PREEvisionはAUTOSARに準拠したEthernetネットワーク/クラスターの設計を、対応する通信も含めてサポートします。モデルベースのエンジニアリング環境により、サービス指向アーキテクチャーの組込ソフトウェアシステムへの使用も可能になります。 | |
AUTOSAR ECUのソフトウェアコンポーネント(SWC)アーキテクチャーを設計するためのツールです。このツールを使用して、グラフィカルなインターフェイス設計の作成、ランナブルエンティティーによる内部動作の定義、SWC同士のリンクを行うことができます。 | |
複数の通信システムをまたいだ残りのネットワークのシミュレーションを1つのツールで実施できます。 |
組込ソフトウェア

ベクターのAUTOSARベーシックソフトウェア、MICROSARには、その他の多くのモジュールに加えて、車両内のEthernetベースの通信に使用されるモジュールも含まれています。これらのモジュールにより、効率的で信頼性の高いECU開発が可能になります。
組込ソフトウェア | |
MICROSAR.ETHには、EthernetおよびTCP/IPベースの通信のためのAUTOSARベーシックソフトウェアモジュールが含まれています。
各種のEthernetコントローラー、トランシーバー、スイッチに対応するドライバーが提供されています。 | |
MICROSAR.AVB | MICROSAR AVB (Audio/Video Bridging) を使用することにより、オーディオ/ビデオおよび制御データを迅速かつ確実に転送できるようになります。これには以下のサポートも含まれます。
これによって、AVBエンドポイントだけでなく、ブリッジ機能の実装も可能になります。 |
ツール | |
DaVinci Configurator Proは、AUTOSAR ECU上のベーシックソフトウェア(BSW)およびRTE(Runtime Environment)の設定、検証、生成で中心的な役割を果たすツールです。このツールでは、ベクターのMICROSARモジュールに加えて、お客様独自のベーシックソフトウェアもご利用いただけます。 |
小ロット対応の汎用ECU

ベクターコントローラーは、車両通信に汎用的に使用できるECUで、短期間での動作サンプルの開発や、少量生産での利用に最適です。これらのECUは幅広いアプリケーションに対応します。お客様は製品ファミリーのスケールアップや、ECUのPCBの削減などにより、ニーズに応じた最適なソリューションを入手できます。
自動車用製品ファミリーのベクターコントローラーは、12 V電源系での使用を前提としており、お客様が目指す、ゲートウェイからドメインコントローラーに至る幅広いユースケースに最適です。
ベクターコントローラー | |
VC36B-12は高性能の車載Ethernetスイッチです。5つの100BASE-T1チャンネル、1つの100BASE-TXチャンネル、3つのCAN/CAN FDチャンネル、1つのLINマスターチャンネルを搭載し、さまざまなゲートウェイアプリケーションとバックボーンアーキテクチャーに最適です。また、情報ハイウェイや先進運転支援システム(ADAS)の車載コントローラーにも適しています。 | |
汎用ECUであるVC121-12は、I/Oインターフェイスのほか、CAN、LIN、FlexRay、Ethernet用の通信インターフェイスを多数装備しているため、ゲートウェイECUに最適です。 |
解析とテスト
自動車分野で使用されるバスシステムとは異なり、車載Ethernetはスイッチドネットワークとなっています。そのため、ネットワークの解析とテストには特別なアプローチが必要になります。通信全体の把握だけでなく、ネットワークへのアクセスについても同様です。

ツール | |
バスとプロトコルの境界を超えた、車両通信全体の解析が可能です。オプションEthernetには、Ethernetネットワークテクノロジーのほか、SOME/IP、AVB/TSN、DoIPなどのプロトコルが含まれています。 | |
ネットワークをまたいだ残りのバスシミュレーション、およびECUとネットワーク全体のテストを1つのツールで実現します。オプションEthernetには、Ethernetネットワークテクノロジーのほか、SOME/IP、AVB/TSN、DoIPなどのプロトコルが含まれています。 | |
ハードウェア | |
VN5610A / VN5640 | VN5610AおよびVN5640は、USBでPCに接続する、コンパクトでありながら非常に高機能なインターフェイスです。これによって車載EthernetおよびCAN (FD) ネットワークに簡単かつ透過的にアクセスできます。スイッチ、タップ、メディア変換などのユースケースに対応します。 |
VTシステム | 効率的にECUとその機能のテストを行うための、モジュール型のテスト環境を提供します。CANoeと併せて使用することにより、高性能で柔軟なテストソリューションとなります。 |
測定/キャリブレーション
以下のベクター製品では、 Ethernet (100BASE-T1など)経由でECU個別のリプログラミング、測定、キャリブレーションができます。

ツール | |
CANape | XCPまたはマイクロコントローラー固有のデータトレースおよびデバッグポートを介して、測定、キャリブレーション、フラッシュできます。CANapeとVX1000を使用することで、ECUの実行時間にはほとんど影響を与えずに、最大限の伝送レートを実現できます。 |
ハードウェア | |
VN5610A / VN5640 | VN5610A/VN5640は、コンパクトでありながら非常に高機能なインターフェイスで、PCへのUSB接続により車載EthernetやCAN (FD) ネットワークにアクセスできます。 VN5610A/VN5640にはさまざまな使い方があり、Ethernetのモニタリングやフレーム、負荷の生成、またはCANのような他のバスシステムとEthernetフレームとの同期トレースなども可能です。 |
組込ソフトウェア | |
MICROSAR.ETH | XCP on Ethernet経由でリプログラミング、測定、キャリブレーションを行うためのAUTOSARベーシックソフトウェアモジュール |
診断/フラッシング
以下のベクター製品は、DoIP (Diagnostics communication over Internet Protocol) をサポートします。DoIPはCANと比べて総データレートが大幅に高いため、複数のCAN、LIN、FlexRay、Ethernet ECUを並行して診断およびリプログラミングすることが可能です。

ツール | |
CANoeはベクターの診断ツールチェーンに含まれる診断テスターの1つです。これは、DoIPを介したECU診断を、ラボ内での机上や車両内で高い信頼性で実行できる機能を備えており、DHCPと、ゲートウェイ論理アドレス(GLA)およびIPアドレスのパラメーター化をサポートします。CANoeでは、CANalyzerの機能に加え、ネットワークをまたいだ残りのバスシミュレーション、およびECUとネットワーク全体のテストが可能です。 | |
CANalyzerはベクターの診断ツールチェーンに含まれる診断テスターの1つです。これは、DoIPを介したECU診断を、ラボ内での机上や車両内で高い信頼性で実行できる機能を備えており、DHCPと、ゲートウェイ論理アドレス(GLA)およびIPアドレスのパラメーター化をサポートします。CANalyzerでは、ネットワークとプロトコルの境界を超えた、車両通信全体の解析に焦点が当てられています。 | |
DiVaは、CANoeのオプションです。DiVaはCANoeの機能を拡張し、ECUの診断通信機能の評価を行うテストモジュールの自動生成と、その自動実行を可能にします。テストケースは診断記述に基づいて生成されます。 | |
Indigoは、だれでも簡単に使用できる診断テスターです。通信に必要な多くの設定は自動で行われるので、面倒な通信プロトコルに悩まされることがありません。簡単な操作で車両全体の状態を一覧で確認、または、個別のECUの診断データを確認できます。 | |
vFlash | vFlashは、複数のECUのリプログラミングにも対応した非常に使いやすいツールです。テンプレートを入れ替えることにより、さまざまな自動車メーカーのフラッシュ仕様に対応でき、すでに70種類以上のテンプレートをご用意しています。また、プラグインコンセプトを介して簡単に拡張することができます。 |
ハードウェア | |
VN5610A / VN5640 | VN5610AおよびVN5640は、USBでPCに接続する、コンパクトでありながら非常に高機能なインターフェイスです。これによって関連する物理レイヤー、100BASE-TXおよび100BASE-T1に簡単かつ透過的にアクセスできます。 |
VN8810 | VN8810は車両診断などのさまざまな用途に使用できるコンパクトでインテリジェントな診断用ハードウェアで、OBDソケットを介して車両へ簡単にアクセスすることができます。1つのハードウェアデバイスでECUのリプログラミングや診断スクリプトを実行することができます。VN8810は、スタンドアローンモードでは自律的に実行されます。また、リモート診断時のアクセスポイントとしての役割も果たします。 |
組込ソフトウェア | |
DoIPを介した車両診断のためのAUTOSARベーシックソフトウェアモジュール。これらのモジュールを使用することで、Ethernet ECUの診断と素早いリプログラミングが可能になるほか、DoIPゲートウェイの向こうにあるCAN、LIN、FlexRayのECUを並行して診断およびリプログラミングすることができます。 |
ダウンロード
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2020-11-17 テクニカルアーティクルCAN XLによるIPのコンセプト(CAN XLを用いたIP通信のコンセプト)
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2020-10-28 テクニカルアーティクル電気自動車と充電ステーション – スピーディな連携を目指して
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2020-08-19 テクニカルアーティクル車載通信システムが迎える大きな変化 - CAN XLがEthernetとのシームレスな連携基盤を提供
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2020-07-13 プレスリリース車載EthernetとCAN/CAN FD対応 - ネットワークインターフェイス「VN5620」発売
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2019-12-03 製品資料MICROSAR
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2019-09-02 製品資料VN5610A/VN5640 ファクトシート
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2019-08-22 プレスリリースベクターの「CANoe」で車載Ethernetのコンフォーマンステストを容易に実行
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2019-08-05 製品資料AUTOSAR ソリューション
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2019-06-13 製品資料車載Ethernetソリューション ファクトシート
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2019-03-07 テクニカルアーティクルSOA、POSIX、TSNが描く未来 ~車載Ethernetのトレンドと課題~
ニュース/イベント
トレーニング

ベクター・ジャパンでは、ベクターのソフトウェアツール、ソフトウェアコンポーネント、最新のバステクノロジーやプロトコルに関する日本語のトレーニングを多数開催しております。トレーニングの概要につきましては、トレーニングポータルにてご紹介しておりますので、是非ご覧ください。
関連トレーニング | |
Ethernet通信開発の初心者を対象としたトレーニングコースです。OSIのレイヤーモデルを参照しながら、概要を物理層から車載特有のアプリケーション層まで、それぞれの機能・役割に着目しながら解説いたします。 | |
PREEvision ユーザーを対象としたトレーニングです。PREEvisionを使用してAUTOSARモデルに対応するEthernetアーキテクチャーのモデリングを行う方法を、実際にPCを操作しながら実習形式で学べます。モデリングに必要なEthernet関連の要素に関して解説を行います。 |
Eラーニング
ベクターではエンジニアの皆様に向けて、キャリブレーションや診断を含む、自動車での分散型組込みシステムの開発や、CAN、LIN、 FlexRay、MOSTをはじめとするシリアルバス通信に関する専門トレーニングを定期開催するなど、専門知識の育成に力を入れています。
このバーチャル・ベクターアカデミーでは、Eラーニングモジュールを利用して、場所や時間などにとらわれずに学習できる機会をご提供します。インターネットにアクセスできる環境があれば、職場だけでなく、自宅からでも学習が可能です。
このEラーニングモジュールはベクター・ジャパンで開催しているトレーニングコースと併せてご使用いただくとさらに効果的です。ベクターでは特に、トレーニングコースの予習に使用することをおすすめします。