XCP
測定およびキャリブレーションプロトコル

XCPの概要

開発に携わる技師や技術者にとって、優れた標準規格と、ECUを最適にパラメーター化できるツールはありがたいものです。そのような標準規格およびツールには、変数やメモリー内容への柔軟なアクセスと、それらの読み取り/書き込みを可能にすることが求められます。1990年代にこれを目的として開発されたのが、自動車メーカーに依存しない、CAN Calibration Protocol (CCP) です。当時、車載ネットワークといえばCANが唯一の支配的なシステムでした。

カーエレクトロニクスの発展と共に、LIN、MOST、FlexRayなど、その他のバスシステムの使用が拡大しましたが、CANバス限定のCCPではこれらの新しいバスシステムには対処できないため、XCPプロトコルが開発されました。

 

特長

  • 数多くのツールで採用されている、ASAMによる標準化プロトコル
  • CAN、CAN FD、FlexRay、Ethernetなど、多彩なトランスポートレイヤーのサポート
  • リソース(ECU内のメモリおよびランタイム、バス負荷)の消費を最小限に抑えるように最適化
  • 測定はイベントと同期ECUのタイムスタンプも記録
  • スレーブ内の利用可能なXCP機能を照会することにより、マスター/スレーブ間の通信をプラグ&プレイで実現
  • ECUでの同期的なデータスティミュレーション
  • バイパス
  • 起動時の測定のサポート(レジュームモード)

XCPは2つのレイヤーからなるプロトコルで、プロトコルおよびトランスポートレイヤーは常に相互に切り離されており、シングルマスター/マルチスレーブのコンセプトを使用します。
XCPプロトコルはシングルマスター/マルチスレーブのコンセプトに基づいています。

プロトコルレイヤーとトランスポートレイヤー

画像:XCPのプロトコルレイヤーとトランスポートレイヤーへの細分化
XCPのプロトコルレイヤーとトランスポートレイヤーへの細分化

データの転送はさまざまなトランスポートレイヤーを介して行われます。以下のトランスポートレイヤーはAutomotiveセクターでは特に重要です。

  • XCP on CANおよびCAN FD
  • XCP on SxI(SPI、SCI)
  • XCP on Ethernet(TCP/IPおよびUDP/IP)
  • XCP on FlexRay

 

シングルマスター/マルチスレーブのコンセプト

画像:CTO/DTOを持つXCP通信モデル
CTO/DTOを持つXCP通信モデル

測定/キャリブレーションシステムはXCPマスターの役割を引き受け、ECUはスレーブとして動作します。マスターとスレーブは統合されているXCPドライバーを介して相互に通信します。各スレーブにはA2L形式のECU記述ファイルがあり、そこではたとえば、変数のシンボル名とそれに関連付けられている アドレス範囲、データの物理的な意味、使用されるチェックサムの方法などが指定されています。XCPマスターはこれらのA2L記述ファイルから、必要なすべての情報を読み取ることができます。

 

XCP経由の通信では、CTO (Command Transfer Object) とDTO (Data Transfer Object) が区別されます。たとえば、マスターはバス上でCTOを使用してECUにコマンドを送り、ECUは要求されたサービスを実行した後、同じ経路を使用して確認応答を送ります。使用可能なCTOには、CMD(コマンド)、RES(レスポンス)、ERR(エラー)、EV(イベント)、SERV(サービス依頼プロセッサー)などがあります。XCPスレーブのメモリーからの測定変数の読み取りや、メモリーへの値の書き込みをイベント駆動で行うには、DAQ(データ取得) およびSTIM(スティミュレーション)のデータ転送オブジェクトを使用します。

 

開発プロセス全体での測定とキャリブレーション

画像:XCPスレーブはさまざまなランタイム環境で使用可能
XCPスレーブはさまざまなランタイム環境で使用可能

XCPを用いる測定およびキャリブレーションでは、そのコードやモデル(Simulink、ラピッドプロトタイピングハードウェア、HIL、SILなど) をどの環境で実行するかは重要ではありません。すなわち、ECUの制御アルゴリズムは、いつも同じ1つのツールで、同じような作業ステップを実行して最適化することができるのです。これによってコンフィギュレーション、測定データ、記述ファイルなどを開発プロセスのすべての段階において使用したり、交換したりすることが可能になります。

CANapeなどのXCPマスターは、異なるXCPスレーブと同時に通信することができます。

XCPによるソフトウェアのデバッグ

ECUでは、ソフトウェアのデバッグと、XCPを使用した測定および調整の両方にデバッグインターフェイス(JTAGやDAPなど)を使用できます。どちらのユースケースも、ECU開発のすべてのステージにとって重要なものです。従来、これらのサービスは互いに完全に独立して使用されてきましたが、デバッグとXCPを切り替えるには、異なる物理アダプターを使用しなければならないため、手間がかかります。

しかし、デバッグのユースケースをXCPの標準規格に含めることで、ハードウェアを変更しなくても、さらには車両に常時搭載されているECUにおいても、上記のすべてのユースケースにデバッグインターフェイスを使用することが可能になりました。

デバッガーソフトウェアはXCP on EthernetでVX1000ハードウェアのXCPスレーブに接続されます。

VX1000ハードウェアには複数のXCPスレーブが用意されており、それらがデバッグ、測定、キャリブレーションの同時使用を可能にしています。これによってECUのデバッグインターフェイスを最大限に活用し、すべてのユースケースで最適なパフォーマンスを実現することができます。PODはJTAGやDAPなどのシリアルインターフェイスか、AuroraやRTP/DMMなどのパラレルデータトレースインターフェイスでECUに接続されます。

デバッガーソフトウェアとMCツールはXCP on EthernetでVX1000ベースモジュールに接続されます。

詳細情報

 

 

ベクターのXCPソリューション

XCP規格は、ベクターからの重要な情報提供により開発されました。また、ベクターの幅広いノウハウと経験も包括的なXCPサポートに注がれています。

ツール

CANapeの主な適用分野は、測定データの取得と、ECUパラメーターの最適化(キャリブレーション)です。システムの実行中は、パラメーター値の調整と測定シグナルの取得が同時に行われます。CANapeとECUの間の物理接続はXCP経由で確立されます(XCP on Ethernet、CAN FD、FlexRayなどのすべての標準トランスポートプロトコルに対応)。
CANapeと産業用コンピューターを一体化し、CANapeの機能を車載ロガーとして快適に使用できるようにしました。 CANape log
必要なA2L記述ファイルを生成および管理するための完全なツールチェーン(ASAP2 Studioを統合したASAP2 Tool-SetおよびCANape)です。
オプションAMD/XCPによって、CANoeにECUメモリへのアクセス機能が追加されます。ECU上の指定メモリへの読取り/書込みアクセスはASAMによって規格化されているXCPプロトコル(XCP on CAN、XCP on Ethernet)またはCCPプロトコルを使用して実行されます。設定はA2L形式のファイルで簡単に行うことができます。
GLロガーファミリはフリート向けのロガーソリューションとして全世界で使われています。XCPオプションの利用により、バスデータだけでなくECUデータも記録できます。 GLロガー

ECUインターフェイス

測定およびキャリブレーションハードウェアのVX1000により、コントローラーへのXCP-on-Ethernetインターフェイスの搭載が可能になります。プラグオンデバイス(POD)をECUのコントローラーにDAP、JTAG、Nexus、Auroraなどを介して直接接続すると、XCP-on-Ethernetインターフェイスとして機能するベースモジュールに、PODからデータが転送されます。

組込ソフトウェア通信モジュール

CAN、FlexRay、Ethernet用の独立したトランスポートレイヤーを持つ通信モジュール群

XCP Basic: XCPの基本機能のみを搭載し、無料でダウンロードできます。 XCPプロトコルの設定とトランスポートレイヤーの変更は、ソースコードにおいて手動で行います。XCP Basicのお客様のプロジェクトへの統合はご自身で実行していただく必要があります。
ASAM仕様の便利な拡張を含み、ツールベースのコンフィギュレーションを可能にします。ベクターのCANbeddedソフトウェア用に利用可能。
MICROSAR XCP: XCP Professionalの機能を搭載し、AUTOSAR仕様に基づいています。ベクターのMICROSAR基本ソフトウェアで利用可能です。

サービス

プロジェクトにおけるXCP使用についてのコンサルティング
エンジニアリングサービス
自社ECUにXCPを統合する際のサポート
XCPモジュールの統合

トレーニング

Training at Vector

ベクター・ジャパンでは、ベクターのソフトウェアツール、ソフトウェアコンポーネント、最新のバステクノロジーやプロトコルに関する日本語のトレーニングを多数開催しております。トレーニングの概要につきましては、トレーニングポータルにてご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

XCPプロトコル参考資料

「XCP - ECU開発用標準プロトコル -基礎と応用分野-」

Photo XCP refence book as printed version and e-book

「XCP - ECU開発用標準プロトコル ~基礎と応用分野~」と題した参考資料PDFをご用意しています。
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