導入企業 - 日立オートモティブシステムズ株式会社 -さらなる安全性の向上が叫ばれている自動車業界において、ミリ波レーダーに求められる機能も高度化しています。日立オートモティブシステムズ株式会社(以下、日立オートモティブシステムズ) は、内製ツールを用いてミリ波レーダー開発のフィールドテストを実施していましたが、ベクターの「CANapeアドバンスドマルチメディアオプション」を導入することで、内製ツールを使用していた際に生じていた特有の問題を解決すること ができました。 利便性から安全性へ 昨今、交通事故の未然防止や衝突被害軽減を目的に、ドライバーの認知、判断、操作を支援する高度な安全技術の開発が加速しています。日立オートモティブシステムズは、自動車関連技術において「環境」「安全」「情報」の3つの領域を軸に事業を展開しています。その中でも、安全分野においては、先行車との距離を制御するアダプティブ・クルーズ・コントロール(以下、ACC) システムを実用化し、さらに高度な衝突回避支援システムの実用化に向け、ミリ波レーダーや画像処理カメラによる外界認識センサーとブレーキ、ステアリング、サスペンションなどのアクチュエーションシステムの開発に力を注いでいます。 ACCシステムとは主にミリ波レーダーを用いて先行車の速度に合わせて自動的に速度を加減しながら先行車との距離を安全な間隔に制御するシステムであり、燃費の向上やドライバーのストレス低減にも効果的です。ミリ波レーダーの技術動向について日立オートモティブシステムズオートモティブシステム開発研究所IAS本部長塚敬一郎氏は次のように語ります。「ミリ波レーダーは、当初、ドライバーの代わりに前方車両との距離を適切に制御しながら追従走行する利便システムに使用されていましたが、今では危険性を事前に察知してドライバーに警告を発し衝突被害を軽減させるなど、従来よりも安全に主眼をおいたシステムにも使用されています。それに伴い、ミリ波レーダーに求められる検知範囲も前方だけでなく、側方、前側方といった自車両の周辺全体にまで広がっています。さらには検知能力も、走行車両(移動物) から停止車両や障害物(停止物) まで、さまざまな物体を検知することが求められています。」 |
内製ツール特有の問題 ミリ波レーダーの検知能力は、天候、道路状況など外部環境に影響を受けやすいため、その開発工程においてフィールドテストによる総合的な性能評価が非常に重要になります。日立オートモティブシステムズでは、これまでドライバー2名とテスト担当者1名が1組になり、実車両と内製ツールを用いてフィールドテストを実施していました。具体的には、車両前方に取り付けた汎用カメラの画像をPCアプリケーション(内製ツール)に取り込み、その画像上にミリ波レーダーが検知したデータを上書きして対象物を認識できているかどうかを確認していました。対象物との距離、角度、相対速度といったミリ波レーダーの内部情報は、CAN通信のフレームフォーマット(以下、CANフォーマット) を使用してPCアプリケーション(内製ツール) に出力し座標軸に直して表示していました。内製ツールを使用する上で生じる特有の問題を、長塚氏は次のように語ります。「内製ツール特有の問題は3つありました。まずは、当社のCANフォーマットを使用する場合は問題ないのですが、お客様との共同開発や評価をして頂く際には、その都度、内製ツールをお客様独自のCANフォーマットに対応するように修正する必要がありました。次に、お客様に内製ツールを使用してもらう場合、ツールの使い方などのサポート業務なども発生していました。最後に、お客様と当社がそれぞれ独自のツールを使用している場合、収集するデータ内容やフォーマットが違っていることも多く、データ解析などの作業が煩雑でした。本来の開発業務に付随して発生するこれらの作業を削減して、いかに開発業務に注力するかが大きな課題でした。」 ![]() 図1: フィールドテストの風景(イメージ) ※画像は日立オートモティブシステムズより提供 |
CANapeアドバンスドマルチメディアオプションの導入 日立オートモティブシステムズは開発業務により注力すべく、フィールドテストに使用できる汎用性ツールの導入を検討しました。その結果、既にベクターの測定/キャリブレーションツール「CANape」を導入済みであったこともあり、CANapeのオプション製品である「CANapeアドバンスドマルチメディアオプション(以下、CANapeAMM)」の導入を決定しました。「ベクターからCANapeAMMの説明を受けた当初から、CANapeとの親和性も考慮して導入には前向きでした。また、CANape AMMを導入した一番の狙いは、内製ツール特有の問題を解決し、より開発業務に集中できる環境を構築することでした。」(長塚氏談) |
高性能な汎用性ツールの機能的メリット 日立オートモティブシステムズはCANape AMMを導入したことにより、内製ツール特有の問題を解決し、より開発業務に注力できる環境を構築することに成功しました。「従来、お客様独自のCANフォーマットに対応するための修正作業に約1週間掛かっていましたがCANape AMMを導入したことで工数は1日に削減されました。また、お客様にCANape AMMを使用してもらうことで、両社が同じテスト環境となるため、これまでテスト環境の違いにより生じていた煩雑な作業を削減することができました。」(長塚氏談) さらに日立オートモティブシステムズはCANape AMMを導入したことで、内製ツール特有の問題を解決しただけでなく、高性能な汎用性ツールの機能的メリットを享受しました。(図2) 図2: 高い汎用性を持つCANape AMMを使ったACCのフィールドテスト例
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まとめ 日立オートモティブシステムズは、これまで内製ツールを用いてミリ波レーダー開発のフィールドテストを実施していましたが、CANape AMMを導入することで、内製ツール特有の問題を解決し、本来の開発業務に注力できる環境を構築しました。さらに、高機能なCANape AMMを活用して効率的かつ精度の高いフィールドテストも実施できるようになりました。日立オートモティブシステムズは、より高度なセンシング技術を実現するために、今後もCANape AMMを活用して開発を推進していきます。「カメラとミリ波レーダーを比較した場合それぞれ長所と短所があるため、今後はカメラで検知したデータとミリ波レーダーで検知したデータを合わせて判定をすることで、より検知能力を高めていきたいと考えています。」(長塚氏談) |
あとがき 日立オートモティブシステムズ株式会社 オートモティブシステム開発研究所IAS本部 長塚敬一郎氏 「CANape AMMを導入したことで、本来の開発業務に集中できる環境が整い非常に満足しています。また、内製ツールでは機能が 足らずに実現できなかったこともできるようになったので、今後もCANape AMMを最大限活用して開発業務の効率化を図っていき たいと思います。」 ベクター・ジャパン株式会社 適合ツール部マネージャー 庄井美章 「CANapeのもつ総合的な測定適合機能をフィールドテストにおいて役立てることが出来、非常に嬉しく思います。今後も先進的な自 動車の開発業務の効率化に役立つツールの製品化をユーザーの声を聞きながら強力に進めていきます。」 |